私と中国茶

My history

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中国茶にほのかな憧れを抱くきっかけは
映画でした。

映画が大好きで、中高生そして学生時代には、5本立てや7本立てであらゆる映画を観たものです。
ませた子どもには難解なものほど魅力的で、背伸びして観た映画の内容はそういうわけで忘却の彼方へ消え去っていますが、イメージとして残っていて、多感なころの刺激は、今もときどき私をチクチクします。
大人になってからその当時に観た映画に再会することも多く、咀嚼し直して味わっています。
イメージはハッキリくっきり輪郭を得て、精神年齢は相変わらず幼いままでも、自らの経験を通して見知った事柄が、名作たちそれぞれのシンプルなメッセージと重なります。大人になって観る映画って素晴らしい!
題名も思い出せなくても、どうやら中国が舞台の映画も随分と観ていたようです。強く印象に残っているのは、小道具としての飲み物のいろいろでした。
ときには優雅に、柳腰の美女が細長い指で持つ小さな小さな茶杯。
あるときには農夫がごつごつの手で包む大きなマグカップ。
湯気がゆらゆら美しいシーン。
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思ってもみなかった中国での生活

その後の毎日は忙しく、自分は何が好きかなど考える余裕もなく、何年も過ぎた
2007年に主人の中国赴任が決まって、思ってもみなかった中国での生活がはじまりました。
息子たちを連れて、中華人民共和国天津市へお引っ越し。涙涙で成田空港を出発し、フォグで空気真っ白な11月の寒い北京空港に一歩踏み出して、すぐに気に入りました。
生まれも育ちも北ドイツなので、乾燥した寒い気候が好きですし、広い平野もグレーな空も人の感じも、全てが心地よく感動したのを覚えています。
迎えの車で、下道や北京オリンピックに向けて建設中だった高速道路を交互に進みながら、天津までの道中もこれからの生活を楽しみに、羊の群れや異様に接近して走る自転車の波を眺めていました。
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chapter3

憧れを形に…中国茶を学び始める

そして翌2008年4月に、晴れて今も慕う師匠のもとで中国茶を学びはじめました。
2013年の本帰国まで、毎週1、2回お教室に通うという幸福な生活を送りました。
素晴らしい師匠に出会えたことこそが私の幸運で、中国茶の基礎と良質な茶葉の味と香りを、丁寧にたっぷりと刷り込んでいただきました。
常にご自身のアップデートを欠かさず、その都度惜しみなく共有して下さる先生。
私生活で何が起ころうと、お茶を淹れる姿はいつも変わらず穏やかな先生。人として師として尊敬しています。
雲華で使用している茶葉のほとんどはこの天津の先生から購入しています。
安全面でも品質でも、最も信用のおける方から購入するのが一番です。
茶器は北京で選んでいます。こうして茶葉と茶器の購入を口実に、本帰国後も中国へ通っているのです。
歴史用
chapter

帰国後、自分のお教室を開いたものの…

2015年の1年間、まだ生徒さんが少なかったころにお外での仕事もしていました。
夜遅く帰宅してまたすぐに朝が来ると絶望する、終わりの見えない休息のない毎日の中で飲むお茶には香りがありませんでした。
1日中呼吸が浅く、帰りの電車でため息をついて初めて空気が肺まで届いた心地がしていました。
  
あるとき這うようにして行ったお茶会でいただいたお茶の美味しかったこと。心に沁みる香りでした。
恥ずかしながら、そのときやっと皆さまが貴重なお時間を費やす場として、選んでお教室にお越しいただいていることに気づくと共に、自分のお教室の存在意義について考えることとなりました。
お教室の存続が如何に有難いことかを実感してレッスンに臨むようになったのは、それからです。
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そして今、心からの「感謝」とともに

成り行きか必然か、家族の転勤がきっかけで知った中国茶の世界ですが、多くのことを授けてくれました。
お教室で皆さまとお茶を共にする毎日で得る、心からの「感謝」という気持ちが一番の授かりものかもしれません。
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